命を救ってもらったんだ:その3
小樽いしばし病院への入院は5月の25日と決まった。
A山病院を強制退院になったのは4月の終わり。
入院まで若干の時間がある。その間に俺の家庭は
バラバラになることになった。一人息子は独立。
それはまあいい。20代真ん中だ。独り暮らしもいいさ。
問題は元妻だった。すでに酔っていて物事の判断さえ
ろくにつかない俺は、ただ妻の話を聞くしかない。
離婚する。お互いの人生を再構築する。
そして、これまで30年にわたって支えてくれた俺を
解放してあげる。これからは誰も支えなくても、
自分のことだけ考えて病気を治して。
別離が決まったんだ。
第2も元妻だったが、第4も元妻のお陰だ。
なのに俺はそんな時さえ酔っていたはずだ。
離婚と言うことの重大性を分っていなかった。
俺は残された時間の少なさを考え、自分が住む
場所を決めるべく毎晩ネットで賃貸物件を検索、
相場や場所など調べ始めたんだ。何とか入院前に
決めておきたかったんだ。じゃないと今の一軒家を
借りたまま、誰も住まず長期入院と言う状況に
なってしまう。
そして見つかったのが南平岸のマンションだ。
続きます