305 メンタルクリニックにて

自助グループ一連と違って、メンタルクリニックは
通常に診療している。診療後の集団療法もあった。

今日の集団、内包はもちろんここに出せないが、
改めて感じたことがあるんだ。

俺がアルコール依存症と診断され、告げられた時。
実は何も感じなかったんだ。だってすでにその時には
飲んでいたから。酔っていたから。

>>
そうか、俺はアルコール依存症か。
それならどうやって飲もうか。<<

それしか頭になかった。だって飲まなきゃダメだから。
飲まなきゃどうしょもないから。

今ならそれがいかに狂っていたのかよくわかる。

でもその頃は飲むことしか頭になかったんだ。

本当の自分を見たくない。見えないようにせねば。
考えないようにしなければ。認識を消すんだ。
そのためには24時間酔っていなければならない。

そして実際、そうしていた。それが俺の酒害だ。

一体何度パトカーや救急車で自宅に搬送されたことか。
今自分がいる場所が分からなくなり、大声で怒鳴りながら
住宅街を徘徊し、足元がおぼつかないので転倒し流血。
ご近所のどなたかが通報してくれたことが何度もあった。

自宅でも錯乱状態になって床をのたうち回り泣き叫び、
妻に救急車を呼んでもらったこともあった。
愛する妻と息子の目の前で、俺は狂気から抜け出すどころか
ますます深みに落ちて行くばかりだったんだ。

そんな俺が「アルコール依存症」と言われたって
そもそもその段階で酔っているんだ。もうどうでもいい。

我ながら、たかが一年以内でここまで別人になるとは。
俺、誰が何と言おうと自分は偉いと思っている。

飲まない、食わない：炭酸一連、果汁、乳酸菌物等々の
いわゆるジュース全般。缶コーヒーもペットボトルのお茶や
ミネラレルウォーターも飲まない。ホカ弁、スーパーの
お弁当、コンビニのお弁当、お総菜。絶対に買わない。
ガム、飴、タブレット、ポテチ、せんべい、買わない。
立ち食いソバ、ラーメン、カレー、ハンバーガー、
利用しない。

すべて飲酒へのトリガー封じだ。

別に我慢しちゃいない。自然にこうなった。
一度「やる」となったら徹底する。それが俺だ。