326 病室についての続き
病室について、まだ続きます。
前回の投稿はこちらですので宜しければ。
sugiyama-yuuichi.hatenablog.com
床。四角で貼り付ける床材をPタイルと言うが、
半分は割れてなくなっており、下地のコンクリートが
あらわになっている。はがれかかってパタパタする
場所もあった。さすが50年である。
現代と違って50年前はテキトーな仕事でも
通用したのかもしれない。場所によっては床が
波打っているのだ。廊下に出るとよくわかる。
昔、と言ってもほんの数年前までは廊下で
喫煙していたと言う。廊下の真ん中に灰皿があり、
皆一様に廊下の壁を背にしてタバコを吸っていた。
それが近年、喫煙所の設置となった。4畳位の
スペースで換気扇が2機あったという。
今でもその周囲は壁も天井も茶色にくすんでいる。
現在喫煙所跡は器材庫と言うか物置である。
病室に話を戻そう。
廊下と言うか通路の反対側が窓になっている。
全てのゴムパッキンは腐食して跡形もない。
つまり窓をしっかり閉めても隙間が出来る。
夏場、何度かその隙間から蛾が入ってきた。
窓の鍵は金属の葉面にビッツが浮き出て、
回転部はさび付いていて動かせない。
碁盤の目に針金で補強された窓はひびだらけだ。
致命的なのはその窓、最大で3㎝しか開かないのだ。
飛び降りや自殺防止だろう。
俺の入院期間は5月25日から10月1日、夏を挟む。
真夏から9月の残暑は本当にきつかった。
※後述するが、8月から病室を移り、窓際になっていた。
俺の向かいには3つのベッドがあり、至近距離に
依存症患者男たちの足の裏が並ぶ。例えようもなく不快だ。
患者の生態、その一部を紹介しよう。
何人かはどういう訳か、朝食後にすぐに布団を被り
寝てしまう。昼食まで寝ている。そして昼食後に
再び寝てしまうのだ。いくら暑くても必ず布団を
首まで覆わせて寝ている。夜は夜で普通に寝ている。
俺が見る限り、課題をやったり学んだりしている
患者を診たことがない。前回の投稿通り、看護師や
先生との会話からして恐らく全くやる気がない。
週に数回、各部屋から割り振られた班を形成し
デイルームと言う広いスペースでミーティングを
開くのだ。その場で実際聞いたことがあるんだ。
「もう別に・・・やりたいこともないし・・・このまま
ここで・・・ゆっくり・・・のんびりやります・・・」
彼は恐らく40代後半だろう。退院する気もない。
黙ってても毎日三食が供され、支度も片付けもない。
そして彼のような感覚であろう患者は決して珍しくない。
事実10年以上入院している患者が普通にいるのだ。
彼らの枕元は凄味が違う。実に効率よく私物が納められ
完全に生活の場として機能しているのだ。
この項、さらに続きます。
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