346 隔離部屋での出来事
前回の通り、俺は飲酒がばれて
隔離部屋へと収容された。
隔離部屋はほとんど拘置所だ。
部屋の中には書くもの読むもの何一つない。
手が届かないところに窓があり、天井も高い。
自殺防止のためだろう。監視カメラが光り
照明は24時間消えない。
さらにトイレが部屋の中に、ドアなしで設置だ。
これはなかなか哀れな空間だ。どこにいたって
トイレが見える。そして芯を抜かれたトイレットペーパーが
いくつか床に転がっている。
水も飲めない。欲しい時はブザーを鳴らし、
看護師を読んでコップ一杯の水を持ってきてもらうんだ。
これが丸っきり人肌であり、極めて不快な水なんだ。
食事は三食出る。その時だけドアのかぎが開けられ
隔離部屋の前の空間で食事をとる。4部屋のみだ。
四六時中何やら怒鳴り散らす男性と、酔って暴れて
包丁を振り回した高齢女性がそれぞれ並びと向かい側だ。
食べ終わると同時に部屋に幽閉される。
俺は部屋の中でぐるぐると歩きまわりながら、やむなく
自分に向き合った。ちょうど酒も切れたころだったんだろう。
どれだけ家族を愛していたか。そしてどれだけ悲しませ、
傷つけて来たか。失ってしまって初めて向き合った。
俺は。世界一大切に思っていた人と、お別れしたんだ。
涙が溢れて溢れて止まらない。これは尾を引いた。
その後数か月間、思い出しては泣きに泣いた。
その時初めて自覚した。多分それまでは酔って考えないように、
意識しないようにしていたのかもしれない。
俺はなぜここまでのアルコール依存になっちまったのか。
なぜ?どうしてなんだ?
ここで結びつくのが本で読んだアダルトチルドレンである自分と
ドラムを叩けなくなった喪失感で、俺自身がなくなってしまい
酔うしか生きる方法がなかった。酔ってないと見えてしまう
自分や状況はとても耐えられなかったんだ。
俺が飲まないようになるためには。
飲酒を我慢したり耐えたりしたって全然だめだ。我慢はもたない。
根元を変えないとダメなんだ。根元とは。
俺が「主語を自分にする」こと。そして、
「ドラマーとして完全に復活すること」
雷に打たれたように俺は自分に酒を禁じた。ついでにタバコも。
飲酒を誘発するものはすべて避けることにした。炭酸である。
ゼロコーラも好きだったんだが、禁じることにした。
本気で自分に誓うと、案外欲求はない。不思議とたばこも。
別に炭酸物も飲みたいとは思わない。これは今でも継続している。
あの幽閉された三日間があればこそ、今の俺があると思う。
地獄のような三日間だったが、俺を助けてくれた三日間だった。
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