388 暑い日の思い出
俺がまだ独立したばかりで、初めての事務所で
仕事をし、帰宅時。その日は今日のような
記録的な暑さだった。
メールで、「余りにも暑いのでダイイチ(自宅マンションの
目の前にある大型スーパー」にいるの」と。息子と二人で。
俺は大至急帰宅し、目の前の「かねひろジンギスカン」に
入って家族で夕食を取った。ありがとう、ありがとうと
何度も繰り返す妻がかわいらしかった。
あんな幸せもあったんだ。
その日も間違いなく生ビールを飲んでいた。
その頃は節度をもって飲んでいたはずだ。
なぜなら仕事も音楽もバンドもドラムも、何ら問題なく
自己実現をしていたから。家族を守っていると自負していたから。
もろくなった石像が端からぽろぽろと崩れるように
一つずつ色んなものが失われていくにしたがって
異常飲酒が激しくなっていった。
今日のような暑い日は、あの晩を思い出す。
その後の家族を、自分を思う。取り返しの
つかない事態を招くに至った自分を返り見る。
病気だったんだ。そんなことは分かっている。
酒のせいでも俺のせいでもない。病気のせいなんだ。
わかってる。わかってるんだよ。
人間の心ってすさまじい力を持っていると思う。
俺は詐欺にあって大金を失ったり(実体験あり)
飲酒運転で免許をなくし罰金100万円を食らったり
(実体験あり)しても、思い出が持つ郷愁と孤独感には
到底追いつかない。
だから。だからこそ病院にしっかり通う。多少だるくても
デイケアも自助グループも休まずに通うんだ。
そして、今の俺の精一杯をドラミングに向ける。
今の思いを、悲しみを音楽に昇華させてみせる。
https://www.instagram.com/sugi1023jp/
https://twitter.com/drum92594656
http://blog.livedoor.jp/sugi_g