ネクスト杉山

余りに大きな犠牲を払ったが、ようやくアルコール依存症を乗り越えたドラマーの、明日への布石

347 生きようと決めた

それまでの俺は死んでいたも同然だった。
隔離部屋でそこに気づいた。


実際、多くの事故があったわけで、いつ死んでもおかしくなかった。
また、糖尿病で入院していた頃、すでに顔には黄疸が出ており、
冗談抜きで杉山は死んでしまうのではないかと言われていたらしい。

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死んでいたということは?
単に呼吸して寝起きし、食事するだけ。


俺は生きようとした。高卒で何の資格もない俺が
どう生きるのか。一番大切だった家族はもうない。
どう生きるのか。何が一番やりたいことだ?
素直になるんだ。誰にも遠慮はいらない。

主語は自分。音楽をやろう。

ごまかさず、取り繕うことなく、素直に自分を出すんだ。
ドラムを叩こう。前みたいにに叩けなくたっていいじゃないか。
今出来るドラミングをメンバーに、お客様に届けるんだ。

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いつか、本当にいつか、その音楽が元の家族に
届くこともあるかもしれない。将来なんてわからないんだ、
だったらどうせなら希望を持とう。

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文章にするとウザいが、こんなことを1秒で思った。

一般閉鎖病棟に戻った、その瞬間から俺はスマホで毎日
調べものを続けた。下腹に力がみなぎって来るのがわかる。

俺、生きて行けるんじゃないか。
そう思った。2020年6月19日。



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