ネクスト杉山

余りに大きな犠牲を払ったが、ようやくアルコール依存症を乗り越えたドラマーの、明日への布石

入院の記憶

患者は全て依存性だ。アルコールが大半だったが薬物、盗癖等も散見された。刺青率も高い。喫煙率も同様。

アルコールでやられ切ったのか、ほとんど会話が成立しない者もいた。

せっかく退院したのにほんの数日で再入院してくる者も多かった。三食上げ膳据え膳の環境から、突如一人になってどうしたら良いかわからず飲んでしまう例が多いらしい。

俺は二度とあの場には戻りたくない。死んでも戻りたくない。それが断酒の動機の一つかも知れない。

七~八年も入ったままの患者も普通にいた。病室のフロアは鍵がかかり、外部には出られないようになっている。外出可能な患者でも午前十時から午後4時まで。

隣のベッドとは30センチだ。もうこれは病室と言うか小綺麗な収容所だ。

俺は退院後即座に再入院してくる患者が怖かった。一体何を考えて再飲酒するのか、あの入院環境にまた戻りたいと言う心がわからない。

今現在、自分の暮らすマンションでテレビを見ながら投稿している。この自由が再び奪われてはならない。