422 記憶とは楽園にもなり、刃物にもなる
明日は段ボール収集日だ。
朝早く起きる自信がなかったので、11時半、深夜に出してきた。
かつて家族で暮らしていた清田の一戸建ては、
裏手に町内会館があり、段ボール他資源ごみをいつでも
廃棄できるような小屋があった。あれは本当に助かっていた。
当時は楽器関連でメルカリなどの商取引が多く、毎日のように
段ボールが発生していたから。
段ボール小屋の隣はアルミ缶の小屋だった。
俺は毎日のようにそこに缶を捨てていた。
たかが段ボールを集積場に出すだけでこれだけのことを思い出す。
その都度俺は瞬間、胸をざっくりと切り刻まれる。
自分が自分に与える償いの痛みだ。
記憶には物理的実体はない。
心の中にある虚像に過ぎない。分かっているんだ。
だが思い出すのは、大笑いしていた家族の笑顔だ。
語り合った楽しかった記憶だ。
ありがとう。そして、本当に済まない。
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