486 酒外中は何一つ気が付かない
例えば主治医や家族に「あなたはアルコール依存症だ」
「一刻も早く専門医の元で治療するんだ」
と言われたって何一つ聞いちゃいない。
今、たった今飲むことしか考えていない
ただし、アルコール依存症にまで至ってしまった経緯、
そこに要した時間、協力者、並走者、その年齢、劣等感、
自己否定、全て何一つかぶっちゃいない。1万人いたら一万通りの
流れや歴史や原因や結果がある。地球上、一人もかぶらない。
ただしその中で、ある程度絞り込めそうな原因や環境はある、
代表的なところでは「アルコールチルドレン」が挙げられる。
御多分に漏れず、俺だったそうだった。思い出したくもないし
いい年して親をののしるのも気が進まない。（縁は切れている）
でも、世の中に完璧な家庭なんてないんだ。
程度の問題はあれど、どんな家庭にも一つや二つ問題はある。
ってかない訳がない。その中で育った子供は大なり小なり
育った影響下で少しずつ大人になるので、言ってみれば
国民皆アダルトチルドレンとも言える。
それをうまく自分のばねにして飛躍する人間ももちろんいる。
ただし残念ながら多くは培養されてきた劣等感や自己否定感が
根強く自分の中に居座り、その負の力から逃げるべく、
人はアルコールに、薬物に、ギャンブルに逃げるんだ。
依存層患者は、皆何かから
逃げ続けている。いつからかは別にして。
酔っていたら見なくて済むから。認識しなくて済むから。
そして耐性がついて酒量は刻一刻と増えて行く。
気がつたときには死と隣り合わせだ。
俺もそうだった。危なかった。今の命は拾った命だ。
何も気を遣わず、火とのことなど気に病まず、
俺がやりたいっことを俺を主語に進めてやる。
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