ネクスト杉山

余りに大きな犠牲を払ったが、ようやくアルコール依存症を乗り越えたドラマーの、明日への布石

酒害に陥る前には

俺は四六時中温泉やスーバー銭湯に行っていた。車でぎりぎり日帰り可能な範囲まで足を伸ばしていた。道東やオホーツクはともかく、行ったことがない湯の方が少ない。ほとんど本を出せそうだったのだ。

ワイルドと言われる自然のままの天然温泉も大概行き倒した。まだ小学生の息子を連れて、ドライブがてら様々な湯に親しんだ。

そんな俺がアルコール依存性になって、めっきり行けなくなった。足元が覚束なく、めまいも激しい。余りに危ない。酔っている以上、湯船やサウナは危険過ぎる。実際浴室で転倒し、顔面殴打で大怪我したこともある。そもそも精神的に出かけて温泉など、そんな気になれなかった。

鬱だった

俺は昨年10月1日に退院し、長引く鬱と対峙する日々の中で、ドラマーとして一歩ずつ復帰し、徐々に心身が好転している。

今日は三回目の温泉、苗穂の蔵の湯に向かっている。俺は回復する。