ネクスト杉山

余りに大きな犠牲を払ったが、ようやくアルコール依存症を乗り越えたドラマーの、明日への布石

飲まなくなった、飲めなくなったわけ

もちろん通院入院治療の効果があるんだろう。
ただ、俺には違和感がある。それだけの訳がない。

一つは記憶にともなう嫌気だろう。

自分のことではケガや事故、トラブル、
全て酒が原因だった。痛い思いを何度もした。
あんな目に合うのはごめんだ。

次に家族だ。
一番愛する人間を悲しませ、悩ませ、
心配をかけ、迷惑をかけ、不幸にしてしまった。
一番幸せにすべき家族を一番不幸にさせた。
もう遅いんだが、せめてこれからの生き方で
自分で納得したいんだ。俺、頑張ってるなって
自分に言ってあげたいんだ。その結果の未来なんて
どうなるか、誰にも分かったもんじゃないから。

後、実は恐怖があるんだ。

入院患者や医師、スタッフ全員にお祝いしてもらい、
寄せ書きまでもらって満場の拍手の末に退院した
患者がほんの2~3日で再入院してくる。

今まで時間になれば三食が出てきて、食器を下げるだけ。
正に上げ膳据え膳である、支度も片付けも不要だ。
そんな数年間を過ごしているうちに、支度や用意が
出来なくなる人間が一定数いるらしい。

ポンと一人の部屋に戻され、何も出来ずに飲んでしまい、
結局病院に戻る、そんな患者を何人も見てきた。
ああなってしまうと、もう社旗生活には戻れない。
せっかく生活保護をもらっていても全部酒代だ。

俺がああなることはない、