幸不幸の捉え方
ホームレスって自殺しないんだよ。
そこそこの社会的立場があるやつが良く自殺する。
小樽石橋病院の入院患者には知的障碍者もいた。
アルコール他の依存に知的障害が加わる。
恐らく退院は出来ないでろう。
でも彼らはよく笑うんだ。
もちろんそんなやつばかりの訳もなく、
四六時中腹を立てては周囲を睨みまわし、
ことある毎に声を荒らげる者もいる。
そういうやつは、まず笑わない。怒ってばかりだ。
俺の場合、ほとんど笑うことはなかった。
これまでアルコールの作用で見えなくしていた
現実が、俺自身がクリアにはっきり見えるんだ。
それを見たくなくて俺は連続飲酒に陥った。
その逃げ場がなくなり、何から何まで嫌だった。
何よりも自身の現状が本当に辛かったんだ。
その感覚は何と退院後数か月持続する。
10月1日に退院し、断酒会やAA、デイケア、
それら自助グループに参加していることには
当時から何ら変わりがない。では何が変わったのか?
音楽を始めたこと。そして感じ方が変わったことだ。
俺は毎日のように様々な自助グループに参加し、
通院し、リハーサルに励み、食事の支度をする。
今夜は氷下魚を焼いた。大好物だ。
この3月、ようやく何ら前提条件なしで自分は幸せだと
正面から思えるようになった。きっと明日はもっと
幸せになれると思う。
寂しさ、孤独感には何ら変化がない。
元家族を思い出すと心臓がねじ切れそうになるんだ。
だが、俺の心だけが生み出すそんな怪物は俺だけが
退治することができる。辛さをはるかに上回る幸せを
自らクリエイトするんだ。そして、している。
今だから言える。俺はきっと大丈夫だ。