ネクスト杉山

余りに大きな犠牲を払ったが、ようやくアルコール依存症を乗り越えたドラマーの、明日への布石

13、入院三泊目

待ちに待った新居の内見の日。
家内は10時に来る予定だが、
五時に起床しちまった。朝食まであと
一時間半。タバコ吸えないのが辛い。

フロアの前後左右、厳重に施錠され、
トイレや病室の窓は一ミリも開かない。
この辺り、さすがに精神病院だな。
ずるしてタバコ、それさえ出来ない。

結構、これを期に禁煙する人もいるべな。

採血が毎日朝晩だから、こそっと
コンビニで一缶さえ無理なんだわ。
採血で一発バレるから、そうなると
強制退院だっつーし。

やりたい自由が、これ全て自傷行為だ。
だから俺はここにいる。体調はすこぶる
よろしい。酒を飲まず、体を休めて
風呂にゆっくり、飲むのは冷えたほうじ茶だけ。

それって別に変じゃないはずだ。
でも吸えない、飲めないは辛い。
ってこたぁ、変なのは俺だ。ならば
あと24日か。慣らして行くべか。

理屈ではわかってるんだよ。
飲んでも吸っても、良いこと無いさ。
ぁあそうだよ。朝食まであと30分。