29、入院14泊目 その2
久しぶりにバカバカしいテレビ見てる。
かなりの面白さのはずがさ、笑えない。
家族で一緒に見てたから笑えたんだ。
家内と出会ったのはもう33年前だ。
俺はドラムの先生、家内は生徒だった。
今の時代にここまで可愛い人がいたんだ。
何も伝えてなかったのに、ツアーから
戻ったら会いに来てくれて。嬉しかった。
色んなこともそりゃあったけど、
宝である一人息子が無限の幸せを
夫婦に届けてくれたんだよな。
長年勤めた楽器メーカーを退職して
今日までの16年間、家族には心配や
苦労ばかりかけてきた。俺なりには
必死に必死にやって来たつもりだった。
一番大切な物を忘れてな。
無くしてわかる、このバカさ加減には
わが事ながらあきれ果てた。
でもな。俺ね、諦めてないんだ。
何かを実現するのに早い遅いはない。
そう信じて入院生活を折り返す。