380 眠くならない
困っだことだが、オオゴトではない。
寝られないなら寝なきゃいい。
ここ回明堂眼科は、どこもかしこも
清潔感がある。不快にならない。
今いる四人部屋、居るのは俺一人。
この広さでら4ベッドか。贅沢だ。
小樽いしばし病院は似たような
広さで7ベッドだった。
多分入院患者はほんの数名だと思う。
快適です。大事なことです。
2ヶ月を要して私は自宅を整備した。
多少心残りがあっても不要ならば
思いを断ち切って廃棄した。大型家具も
たくさん廃棄した。我が家はまるで
モデルルームのように快適な空間だ。
それが今、回復しつつある俺なんだ。
居心地が良いからクリエイティブに
物事を捉えることが出来る。
まだ先でも良い作業を今すぐ始める。
快適だから音楽をより深く理解する。
それがドラミングにも生きてくる。
酔った頭と姿勢は、床に転がる空缶や
空瓶にその精神が投影され、片付く
どころか汚れる一方だ。それはそのまま
当人の精神、心身の状態を指し示す。
つい一年半前の俺がそうだったから
依存症患者の気持ちは人一倍わかる。
俺もそうだったんだよ。
吐瀉物や糞尿だらけの寝床でひたすら
飲んでいたんだ。数ヶ月も入浴せず
歯も磨かずに飲んでいたんだ。
朝コンビニで飲む。一口で吐く、
だが飲み進めると吐き気派収まる。
手の震えも飲み進めると収まる。
酔ってさえいたら、現実の自分を
見ないで居られる。ドラムを叩けない
俺なんて生きる価値もない。
でも働いて家族を養わねばならない。
そしてそれが出来ない、まだ飲んで
逃げる。見ないように、そのために飲む。
だから俺は、酒を我慢するんじゃなく
「酔わなきゃならなかった原因」を
理解し受け入れ、過去に勝つことにした。
新しい俺のドラミングを何より最優先し
確立すべく練習し機材を吟味し、
多少苦しくても、必ずや手に入れた。
そのたった一つの行動が俺の全てを
変えて行った。確実にドラミングは
新たな表現を生みつつあり、
見た目もミュージシャンに戻った。
部屋は余りにも整理され、美しく
調えられた。
コンビニ弁当もスーパーの惣菜や弁当も
退院以來一度も買っていない。飲物も
水出しの麦茶だ。月に二百円である
飲またい気持ちがなくなった。
今でも目の前で生を飲まれてもCM見ても
全く影響は受けない。
一番大事なのは、自分がありたい自分に
向かって本気でしかも楽しんで涼む、
その第一歩を今踏み出すことじゃ？
俺が出来たんだ。アルコール依存症患者は
今すぐ始めよう、約束するが回復するぜ
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