433 気持ちよく生きたことがなかった
それが飲んでる頃の俺だった。
-----不潔-----
入浴しない、洗顔しない、歯を磨かない、着替えない、
下痢で漏らしてそのまま、枕元に吐いてそのまま。
恐らく俺全体から悪臭が立ち上がっていたことと思う。
酒の空き缶がPC周りに転がっている。
肴の空き袋、食いカスがデスクトップに散らばる。
そんな空間の居心地が良かったんだろう。
腐りきった空間が自分にとって釣り合いが取れていたんだ。
-----心の在り方-----
鬱そのものだった。一度横になると起き上がれない。
便意があるのに起き上がることが出来ず、垂れ流して
そのままだったことさえある。
深夜、飲みながら「闇金ウシジマ君」をよく見たものだ。
あの作品は、普通の精神を持っている人なら大半が鬱になる。
人間の嫌なところをこれでもかと描写し、惨めで哀れな
配役が次から次へと視聴者の精神をぎりぎりと痛めつける。
でもその時間が心地よかった。俺より惨めでヤバイ人間が
いるんだ、俺はまだ大丈夫。そんな感覚だったと思う。
そして、元妻にも俺は当たった。
もっと機嫌よくしろ、会話をしろ、にこやかになれ。
・・・無理に決まってる。今なら当然のこととしてわかるが
酔ってる頭では単なる理不尽としか捉えられなかった。
それまでケンカらしいケンカさえしたことがなかったわが夫婦は
俺一人の原因でささくれ立って行った。
夜明け前が一番暗いと言う。
同様に、入院前の数か月は一番ひどかった。
死んでしまっても何ら不思議じゃない。
よく最後の最後まで見捨てないでいてくれたと、
元妻と息子には泣きたい位に感謝する。
まだついこの前、昨年2020年1月から4月にかけて、
この期間で俺の家族は一人一人の道に向かって歩き始めた。
その間、毎晩のように何時間も三人で語り合った。
人生を、精神を、理想を、生き方を毎晩のように何時間も。
あの記憶は俺の宝物だ。
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