ネクスト杉山

余りに大きな犠牲を払ったが、ようやくアルコール依存症を乗り越えたドラマーの、明日への布石

再度の入院当初の自分自身

入院当初は二人部屋だった。
初めは俺一人だったが、程なくもう一人、70代の患者が入ってきた。
気の良い男であった。彼は幻覚を見たらしい。俺はさすがに幻覚は
見たことがない。

食事もまずくはないし、寝具は週に一度交換だ。患者が自分でやるのだが。
風呂もトイレも洗面所も、手入れしているのだろうが余りにも古すぎて
清潔感が全くない。ついでに窓は3センチしか開かない。飛び降り防止のようだ。

一週間後、俺は大部屋に移動になった。二人部屋は監視部屋であり
24時間監視カメラが動作している。異常な行動がないか監視していた。
監視から逃れられるとも思ったが、通常いいとこ四人部屋と思える
部屋に7人が納められる。隣のベッドを仕切るのは一枚のカーテンであり
その空間は30センチである。30センチ横に依存症患者がいる。
これが病室窓からの眺めだ。中庭を見下ろしている。

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俺どころじゃない症状の患者がざっと70名。もう十年入院している男、
会話もほとんど成立しない患者、中途でやめた刺青を背負った男。
個人のスペースはわずかにベッドの上のみであり、日中はカーテンも
使用禁止である。どこからでも様子が見えるようにせねばならない。
これが俺が収容されていたベッドだ。

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2週間もすると午前10時から午後4時までは外出可能になった。
病院目の前がコンビニであり、徒歩3分で大型スーパーがある。
依存症患者にとっては「待ってました」であろう。ストレス過多だ。
御多分に漏れず、俺もスーパーで買ってはほぼ毎日飲んだ。
コロナ渦でマスクが必須だったので匂いでばれることはしばらくなかった。
それをいいことに俺はやり放題だった。

※続く