ネクスト杉山

余りに大きな犠牲を払ったが、ようやくアルコール依存症を乗り越えたドラマーの、明日への布石

命を救ってもらったんだ:その4

物件を決め、離婚の手続き、住民票変更
引越し業者見積、3名の引っ越し作業と、
入院前は異様な忙しさだった。

それゆえ、悲しさも孤独感もなかったんだ。
それどころか、引っ越ししたその日から
毎日飲んでいたんだ。部屋で足がもつれて
ゴミ箱に顔面を強打し、眼底があざで黒くなったり
足先が血まみれになったりしていた。


そんな中でも新規webの制作作業も進め、
ノートPCや外付けHDにデータを移動したり
アカウント関係を移設したりしていた。

ついにやってきた入院の日。
約束していた通り、元妻の車で息子と一緒に
小樽いしばし病院に向かった。

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思ったよりも早く着いたので、せっかくだから
家族で昼食をとなった。小樽なので「なとり」の
鳥に決めた。本店はコロナ禍で持ち借りのみ。
ちょっと離れた分店に行って、三人でいつも通り
食事である。普通に世間話をし、さすがのおいしさに
話も弾むんだ。こんな席も、もうなくなっちゃうのかな。
頭の片隅にはそんな思いもあったんだ。

そして約束の午後一時、いしばし病院に到着し、
院長の部屋に家族で入った。入院の説明があり、
「それでは患者さんはこちらへ」と、突如連行され、
家族とはそれっきりだった。

俺は三階の依存症患者の隔離病棟に移動し、
監視カメラが動作している二人部屋に収容された。
長きにわたる入院生活はこうして始まった。