ネクスト杉山

余りに大きな犠牲を払ったが、ようやくアルコール依存症を乗り越えたドラマーの、明日への布石

リハーサルを終えて

夕食後、一息ついている。今日のリハーサルで
セッティングの最終段階を見た。後はフットペダルの
動き調整だ。どうもしっくりこない。
だがそれは麻痺がしつこい足のせいかもしれない。

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その際、俺の入院に関する話になった。半ば冗談風に
ありえないスペースに7名収容とか隣が30㎝とか話す中で
改めて気が付いたことがある。

アルコール依存症は「否認の病気」とも呼ばれ、
まず当初は10人が10人、自らがアルコール依存症
認めることがない。むきになり、血相を変えて
「俺はアル中じゃない!」と、下手したら暴れるんだ。


知識がない場合は「アルコール依存症」ではなく
「アル中=アルコール中毒」とネーミングされている。
アル中とは、昼から公園や路上、店頭や店の前で飲んで
寝込んじゃったりするような人間をイメージしている。


なので「俺はそうじゃない」と言うことになるんだ。


俺もそうだった。小樽いしばし病院に入院した当初、
そう、一か月前後は「早期退院」しか頭になかった。
難癖をつけるかのように即時退院を医師に迫った。


その頃は「どうやって飲むか」しか頭になかったんだ。

それこそが病気だ。自らの意志と希望で、惨めな悲惨な
死へと向かっていたんだ。俺だって危なかった。

だが生還した。