368 精神はその人を滅ぼせる

思っただけでそうなる。
それが人間だと俺は思う。

以前も書いたが、「ダメな俺」と自分で思っていたら
ダメな人間であろうとする。すると思った通りになる。
俺が最もアルコールに埋もれていた頃。
それは蕎麦屋を経営していた頃だろうと思う。

俺は飲酒運転で夜遅く帰る。当然コンビニで酒を買って。
風呂にも入らず、歯も磨かず、着替えもせずに布団に入り
そのまま飲む。ＴＶをつける。その時に放送していて
よく見ていたのがこれだ。

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登場人物のディティールは「クズ人間」の集まりだ。
それがその頃の俺にちょうどはまった。

俺は、全人生をかけてきたドラムが叩けなくなり引退した。
10年以上やってきた自営業の会社も先行きが見通せず業績は悪化している。
収入は先細りであり明日が余りに暗い。すでに税金や公共料金など
滞納し始めている。

そんな俺に、今何が出来るのか

酔って見ないふりだ。

もう狂っていたと思う。
何一つ正常な判断が下せなくなっていた。
それもこれもドラマー引退から始まる、
強烈な劣等感だ。
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叩けない俺に存在価値はない。
そんな俺に、生きる価値はない。

だからそういう人間としてふるまっていたんだと思う。
そして鬱を培養するような番組を見て慰める。
俺よりも屑な人間を見ると、瞬間ほっとする。

だがそんな感覚は数分しか持たない。だから飲む。ひどく飲む。

全部のスタートは精神じゃないか。
俺の精神がダメな俺を自分の意志で作り出していた。
それを加速するための、酒は格好のエネルギー源だ。

なぜ今、俺は飲みたいとさえ思わないのか。
それは、叩いていること。戻ろうと闘っていること。
身体も治そうと内科、精神科、眼科、歯科に通いながら
断酒会、ＡＡ、デイケアに通う。

全て俺の精神が俺に銘じているんだ。
生きろと叫んでいる。
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気が付くと不要物を全て処分し大型家具も不要となり処分した。
そしてとんでもなく広くなった部屋に観葉植物を置き、
間接照明を取り入れて暮らしている。三食自炊している。

俺の精神は間違いなく上向いている最中だ。