ネクスト杉山

余りに大きな犠牲を払ったが、ようやくアルコール依存症を乗り越えたドラマーの、明日への布石

393 病院から逃れられない患者

退院が決まり、「合同例会」(全依存症患者と医師、
看護師が一堂に会し、週に一度開催される全体例会)で
全入院患者からの寄せ書きをもらい、先生からの言葉と共に
退院後へ向けた決意表明をする。大きな拍手をもらって
患者は退院して行くのだ。・・・そして。
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その中の半分以上はモノの数日で、
ヘタしたら翌日には病院に舞い戻ってくる。


これが俺にはまず理解できなかった。

精神病院での日々は俺にとっては地獄だった。
目に入るものすべてが「惨めで哀れ」に感じ、
一刻も早く出たかった。退院までに日数を
毎日指折り数えていた。そのことを看護師に
怒られたりしていたが、一切相手にしなかった。


あそこまで大々的なセレモニーを経て
せっかく退院したのに、なぜ戻るのか。

同室のベテラン患者と話すうちに分かってきた。



◆何年も入院していたので、いきなり一人になると
何も出来ない。とりわけ食事が作れない。


◆決められた時間に決められた行動をしていれば良かったので
全部自由になると何をどう行動したらよいかわからない。


◆食事の支度が出来ないので仕方がなくスーパーやコンビニで
弁当を買う。そのような店には酒も売っている。



◆結局飲んでしまう。依存症患者なので飲酒を
コントロールできない。結局自分から病院に助けを求める。


患者の大半は入院中に死活保護を申請し、小樽市から
保護認定される。病院と小樽市の連携で、アパートを決める。
物件の中から病院に近い住居を決める。通院のためだ。

よく不動産屋さんと会うために外出許可をもらう患者の
姿を見たものだ。結構よさげな物件資料も見た。1LDKで
むしろ贅沢に見えたりした。

そして最低限の家具家電も保護費から支給される。
布団、洗濯機、冷蔵庫、テレビ、ストーブ、テーブル。
それらを小樽駅ドンキホーテなどで選んで見積もりをもらい
市役所に提出、順次アパートに到着する。その都度部屋に行って
整理するのだ。皆一様に生き生きとして見える。

だが下手したら一日で戻る。


考えてみたらフライパン一つない。箸の一膳もない。
炊飯器は含まれていなかったと思う。醤油もソースもない。

それでなくとも「飲む以外はすべて面倒」なのが依存症患者だ。
人によっては一日で戻るのも、こう考えると解らなくもない。

ただし俺はまっぴらごめんだ。
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入院前にマンションは契約、引っ越し済みであり
あらゆる家具家電調理器具があった。また料理の腕にも覚えがある。
何より大切なこととして、飲酒欲求を乗り越えた。

俺はもう飲みたいとは全く思っていない。

多分今日も明日も再入院患者が病院に舞い戻ってるんだと思う。




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