457 飲まない自由、飲む不自由
、、、は、断酒して初めてわかる。
連続飲酒中は、まず飲むことが最優先だし
「一歩立ち止まる」ことが出来ない。
俺も出来なかった。
飲めないということは一大事であって
何があろうとクリアして飲む。何なら
犯罪してでも飲まねばならない。
信頼や愛情、経済や健康も全て飲酒が
優先されてさしまう。飲酒を阻害する
あらゆる要素は敵である。排除せねば。
それがアルコール依存症患者の価値観だ。
飲むのが使命であり目的なのだ。
そのスパイラルから抜け出すのは難しい。
価値観の全面逆転が必要だろう。
俺は飲む飲まない以前の問題だった。
飲むというより「酔う」理由の排除だ。
本当にやりたいことを俺の好きなように
存分にやりきる毎日にする。
たったそれだけのことが出来なかった。
何年も何年も。その苦しさから救って
くれるのは酒がもたらす酔いだけだった。
末梢神経障害で手足が言うことを聞かず、
俺はせっかくのメジャー発売記念ツアーの
終了と同時にバンドを脱退、引退した。
その瞬間、俺は変わってしまった。
学歴も大した職歴もなかった俺には
ドラマーとしての存在しかなかったんだ。
そのドラムがもうプレイ出来ない。
俺の居る場所がなくなり、存在価値が
なくなってしまった。俺を取り巻く全ての
事象に連日「消えろ、死ね」と言われた。
酔っていれば、その声を聞かずにすむ。
現実を見ないでいられる。俺は元もと
好きだった酒に、朝晩問わず逃げた。
その逃げは入院中にも続いていた。
自分を主語に生きる。
病院から購入させられた書籍の一節だ。
これは大きかった。俺はいつだって誰かが
主語だった。自分がアダルトチルドレンと
知って驚愕したのもこの本のお影だった。
技術とパワーを全面に、派手なドラミングを
看板にしていた俺を、俺が葬った。
そして、今の俺に出来るドラミングで
生きる俺を蘇生させた。俺は生き返った。
それが2020年、6月18日だった。
何からも逃げる必要がなくなった俺に、
酔う必要もなくなった。
俺には飲まない自由があり、飲む理由が無い。
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